あらすじ
瀬川里帆は、十年間勤めた会社で「サポート向き」と言われ続けてきた。
営業資料の作成、顧客別の売上分析、契約管理、納期トラブルの予防、役員会議用の数字調整。
部署の裏側を支えていたのは、いつも里帆だった。
けれど、返ってくる言葉は決まっていた。
「いつも助かるよ」
「縁の下の力持ちだね」
「でも、サポート職だから」
必要とされているのに、評価はされない。
成果を作っているのに、名前は残らない。
大手取引先・大成ホームの大型案件でも、里帆が三か月かけて整えた提案資料は、営業担当の手柄にされた。
さらに上司から「君は前に出すぎた」と言われた瞬間、里帆の中で何かが静かに終わる。
翌日、里帆は退職届を出した。
退職後、里帆のもとに届いたのは、大成ホームの担当役員からの一通のメールだった。
「先日の提案資料を主に作成されたのは、瀬川様だと伺いました」
会社では評価されなかった仕事が、外では専門性として求められる。
里帆は初めて、自分の仕事に自分で値段をつける。
そして、彼女を安く扱っていた会社は、里帆がいなくなって初めて、その価値を思い知ることになる。
これは、便利な人として消費されてきた女性が、自分の名前で働き、自分の値段を取り戻すお仕事逆転ヒューマンドラマ。