あらすじ

ヴァンディーン伯爵令嬢ローレは、王都の商人ギルドで「帳場係」と呼ばれていた。十年間、王都に出入りする塩・茶・絹・銀の取引を、彼女がひとりで台帳に記してきた。「お前の帳場など商人ごっこ。記録などギルドの誰でもつけられる」――商人ギルド会頭の侮辱に、ローレは台帳を閉じて立ち上がる。翌朝、ギルドの帳簿係たちは絶句した。十年分の台帳が、誰にも読めない暗号で書かれていた。彼女がひとりで発明した、商隊間の独自暗号――鍵を知るのは、彼女ただ一人。三日後、塩の値段が三倍になり、絹の取引が停止し、王家への銀の納付が間に合わなくなった。「鍵をお売りください」と訪ねてきた会頭に、ローレは静かに言う。「鍵は売り物ではございません。わたくしの十年です」

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アルファポリス
アルファポリス2026/05/21
  • 現在の作品「帳簿付けなど商人ごっこ」と追われた令嬢——三日後、王都の塩が三倍に跳ね上がった