あらすじ
華族・九条家の嫡女でありながら、母を亡くした少女・澪は、継母と義妹に虐げられながら静かに生きていた。
彼女にあるのは、人の心に子尾する弱い結界術だけ。
華やかで才能ある義妹と比べられ、「出来損ない」と蔑まれる日々を送っていた澪は、いつしか自分の力も価値も信じられなくなっていた。
そんなある日、匡を揺るがす名家・東雲家から婚約の話が届く。
相手は、”黒焔”を操る東雲家当主ーー東雲朔夜。
禍を焼き払う最強の術師でありながら、その苛烈な力と噂から、人々に恐れられている存在だった。
本来なら義妹が嫁ぐはずだった。
だが、継母は可愛い娘を手放したくない一心で、虐げていた澪を身代わりとして差し出す。
望まれぬ婚約。
恐れられる男。
居場所のない少女。
けれど、朔夜は噂とは違っていた。
「お前を、その家へ返すつもりはない。」
冷たいはずの紫紺の瞳は、なぜか澪だけには優しくてーー。
やがて澪は、自分の中に眠る本当の力と、亡き母から受け継いだ秘密を知っていく。
それは国を覆う”禍”と、過去に封じられた悲劇へ繋がっていた。
これは、忘れられた痛みを抱えた少女が、黒焔を纏う青年と共に運命へ立ち向かう、和風異能恋愛幻想譚。