あらすじ
会社の倒産、再就職先での理不尽な冤罪解雇。
友人には連帯保証人にされて逃げられ、
妻は年下の部下と不倫、娘からは見下され、家を追い出された。
四十代の元サラリーマン・田中修平は、
仕事も、信用も、家族も、すべてを失った。
「一番、人に迷惑をかけない終わり方」を探した彼が辿り着いたのは、
最近出現したダンジョンだった。
死ぬつもりで足を踏み入れたダンジョンで、
偶然ポケットに入っていた“名刺”を投げた瞬間、
魔物の首が落ちる――。
しかし、探索者協会で下された判定は最低ランクのF。
名刺を持たない状態では、彼の力は正しく測定されなかったのだ。
評価されず、疑われ、見下されながらも、
田中は淡々とダンジョンに潜り続ける。
名刺一枚を武器に、誰にも期待されないまま。
やがて始めたダンジョン配信は、
「Fランクなのにおかしい」
「説明がつかない」
という疑念とアンチの声を集め、少しずつ注目を浴びていく。
これは、
社会的に死んだ男が、
ダンジョンでだけ“役割”を取り戻していく物語。
静かに、しかし確実に、
立場と評価が逆転していく、現代ダンジョン譚。