あらすじ
【起】 西暦2045年。身長150cmの少女・一ノ瀬遥は、現実のバスケットボールにおける「体格という絶対的格差」に絶望していた。そんな彼女の唯一の救いは、フルダイブ型メタバース・スポーツ『V.B.L』。そこで175cmのアバター「NOVA」として、彼女は仮想空間でだけは自由な翼を得ていた。 一方、中東の新興国家アル=ナジールでは、AIシステム「ハルモニア」による究極の管理社会が築かれようとしていた。国民は一切の不安から解放され、安寧を享受している。だが、その平和の裏では、V.B.Lを巨大な検証場として世界中のプレイヤーから「感情データ(コグニティブ・ノイズ)」を収集し、全人類の意志を最適化(コントロール)しようとする、国家の枠を超えた陰謀が進行していた。
【承】 遥は、V.B.Lを通じてかつての挫折を知る優太、ライバルの美月(クイーン)、イーグル・J率いるアメリカチームと出会い、絆を深めていく。物語の中盤、現実世界の友人・翔太(ヘアショー)の参戦により物語は一気に加速。V.B.Lの裏側に潜む国家の闇へと立ち向かう遥たちの前に、ハルモニアの「最高傑作」として育てられた青年アミールが、圧倒的な秩序の象徴として立ちはだかる。
【転】 3×3の決戦。アミールのプレイは無駄を排した「最適解」であり、遥たちの自由意志を封殺する。しかし遥たちは、AIには予測不可能な「不自由を知る者だけが持つノイズ(純粋な意志)」でシステムの計算を上回るシュートを放ち、勝利を掴む。 だが、その勝利によって暴かれたアル=ナジールの陰謀は、意外な結末を招く。世論は「自由の奪還」を喜ぶ声と、ハルモニアによる「繁栄と安定」を支持する声に二分されたのだ。戦いの場は、より深層の意識へ繋がる「5×5フルリンク」へ。自由な競争に疲れ、平穏を望む親友・翔太は、ハルモニアが提示する「争いのない平和」に共感を抱き始める。
【結】 アル=ナジールは、システムのバグとなり得る遥たちを排除すべく、V.B.L中東リーグを設立。遥たちは最後の決戦に挑む。親友・翔太の裏切りと対峙、そしてアミールの完璧なプレイ。遥は「自由であることの苦しみ」と「管理される心地よさ」の間で激しく葛藤する。 最終的な勝負はアル=ナジールの勝利に終わるが、遥たちはハルモニアを破壊するのではなく、その正義も一つの選択肢として容認する。