あらすじ
ゲーム会社のバランス調整担当・神崎遼、三十一歳。
リリース直前のデスマーチで意識を失い、目が覚めたら異世界の麦畑で寝ていた。
そんな俺に与えられた固有スキルは——【概念付与:レベル】。
なるほど、他人にレベルという概念を付与できる。付与された者は経験値を貯めて成長し、スキルも覚える。なかなか強そうじゃないか。
ただし。
スキルの選択ができるのは俺だけで、本人には見えない。
さらに、俺自身は永遠にLv0のまま、ステータスもスキルも一切持てない。
つまり俺は、戦えない。魔法も使えない。
辺境の村に流れ着いた、何の取り柄もない男だ。
それでも、人を見る目だけはある。十年間ゲームのキャラビルドを設計してきた俺だ。
誰に何のスキルを与えれば、どんな強者になるか。誰を組み合わせれば、どんな組織が回るか。
剣の才ある村娘、追われた前村長の息子、訳ありの流れ者、薬草使いの女、元王都官吏の古老——
俺はこの村で、最初の五人に「レベル」を配り始めた。
目の前の村を、住みやすい形に作り直したかっただけだ。
それがいつしか、領を変え、国を揺らし、玉座まで届くことになるとは、まだ知らない。
Lv0の男が、Lv0のまま玉座に座るまでの長い話。