あらすじ

保健センターのケースワーカー・望月理恵(32)は、誰かの孤独にはすぐ気づけるのに、自分の孤独には名前をつけられないまま生きていた。恋人との別れ、病床の父、届かない言葉。 雨の夜、公園のあずまやで雨宿りをしていた理恵は、腕時計が止まった瞬間——昭和40年の浅草にタイムスリップしてしまう。 右も左もわからない理恵を拾ってくれたのは、江戸っ子大工の源さんと、その妻ハナ。 ちゃぶ台を囲む賑やかな家族の中で、理恵はある三歳の女の子に気づく。 右耳をそっとつまむ、見覚えのある小さな仕草。この子が——私のお母さんだ! 鍵のない玄関、お節介な隣人、正論が通じない人情の世界。「助ける側」として生きてきた理恵は、昭和の泥臭い愛に何度も打ちのめされ、そして初めて「助けてもらう」ことを知っていく。 時計の針が動き出す時、扉は閉じる。 それでも理恵は、ここでもらった愛を現代の家族へ届けるために、帰ることを選ぶ。

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カクヨム
カクヨム2026/05/21
  • 現在の作品あまやどりの時計 ~雨の日に迷い込んだ昭和の長屋で、 私は三歳の母と出会った~ 時を越えた家族の絆が教えてくれた、帰るべき場所のこと