あらすじ
⚠️ 本作には、
* 性的描写
* 暴言・攻撃的表現
* SNS依存
* 青年の精神的不安定さ
などの描写が含まれます。
高校を退学し、通信制高校へ転入した馬場楠雄《くすお》は、四畳半の部屋で怠惰な生活を送っていた。
毎日デスクトップの光を浴びながら、SNSで他人の悪口を書き込み、自責し、また他人を憎む。その繰り返しだけが楠雄の日常だった。
親戚付き合いすら拒絶し、両親から怒鳴られても逆上し、最後には「どうせ俺の気持ちなんて誰にも分からない」と開き直る。しかし本当は、自分が救いようのない人間であることを、楠雄自身が一番理解していた。
悪臭の染みついた部屋。
黄ばんだ毛布。
誰からも来ない通知。
大学生という肩書きだけを支えに、楠雄は誰とも関わらず、孤独と承認欲求だけを膨らませながら生きていた。
そんなある冬の日。
退学前の高校で唯一話しかけてくれた女友達・愛華から突然連絡が届く。
久しぶりの会話に心を躍らせながらも、楠雄は見栄と虚言で自分を取り繕う。男友達と飲み歩いている、と嘘をつき、本当は誰からも連絡が来ない現実を隠し続ける。しかし愛華とのやり取りは、楠雄の奥底に沈んでいた「愛されたい」という感情を少しずつ呼び起こしていく。
だがその感情は、やがて劣等感と孤独をより深く浮き彫りにしていくのだった。
愛華から送られてくる大学生活の写真には、明るい笑顔やカラオケ店の薄暗い照明、楽しそうに並ぶ友人たちの姿が映り込んでいた。楠雄はそれを眺めながら、自室の薄汚れた壁に目を向ける。黄ばんだ毛布。開けっぱなしのコンビニ袋。飲みかけのペットボトル。部屋に染みついた湿った臭気。そのどれもが、自分だけが取り残されている現実を静かに突きつけていた。
それでも通知音が鳴るたび、楠雄の胸は僅かに高鳴った。
もしかしたら愛華かもしれない。
もしかしたら、自分にもまだ誰かに必要とされる可能性が残っているのかもしれない。
しかし期待すればするほど、現実は容赦なく楠雄を突き放していく。