あらすじ
海辺のレストラン Paper Moon を訪れる人たちの、恋や別れ、すれ違い、そして始まりの気配を描く短編シリーズ。
第二話『夕暮れ前の席』は、午後三時のPaper Moonで起きた、ささやかな席の行き違いから始まる物語です。
水野紗季は、予定のない午後を少し持て余し、薄い水色の表紙の文庫本を持ってPaper Moonを訪れる。
予約していた窓際の席には、手違いでひとりの男性が座っていた。
彼の名前は、悠介。
最後のレモンタルトをきっかけに、ふたりは少しだけ言葉を交わす。
恋ではない。
まだ、そんな名前をつけるには早すぎる。
それでも、さっきの会話のいくつかが、午後の中に残っている気がした。
終わった恋の夜を描いた第一話『最後の予約』と対になる、
始まりの少し手前にある午後の物語です。