あらすじ
夕星夢七と嶋口一翔が出会うのは、静寂に沈む図書館だった。数学という無機質な真理の世界に孤独を預けていた青年と、余命と引き換えに笑顔を保つ少女。名前を交わし、数式を語り合うたびに、彼らの世界はわずかに形を変えていく。
しかしその関係は、単なる青春の邂逅では終わらない。一翔が抱える“数学が兵器へと転用される現実”という罪と、夢七に刻まれた“限られた時間”という宿命が、静かに物語の底で交差していく。
「数学は、生き物みたいだね」
その何気ない一言を境に、論理と感情、真理と痛みが溶け合い、二人だけの宇宙が立ち上がる。
これは、証明できない人生と、それでもなお証明しようとする心の物語。