あらすじ
男子バスケットボール部キャプテンであり、絶対的エースの一ノ瀬大輝。彼の視線の先にいるのは、いつも「バスケ」と「勝利」だけだ。
マネージャーの長谷川紬は、彼の肉体の限界も癖も、誰よりも把握しているという小さな優越感を抱えながら、完璧な「戦友」を演じ続けていた。それが、彼の一番近くにいられる唯一の手段だから。
選手たちがシャトルランで限界を迎える時の、あの肺が焼けるような痛みを、私は一歩も走っていないベンチの陰で、ただ彼を想うためだけに味わっている──。
運命のインターハイ予選。劇的な逆転勝利の直後、手渡されたスクイズボトルの上で二人の指先が強く重なった。氷水で冷やされていたはずのボトルが、狂おしいほど熱を帯びていく。
すれ違い続けた二人の自意識が、コートの隅で激しく息切れを始める、切なくも泥臭い青春スポーツ短編。