あらすじ
幼い頃、ノア・アークライトは幼馴染たちと“トレジャーハンターになる”という夢を誓った。
だが十二歳で探索者となった後、才能を開花させていく仲間たちとは違い、ノアだけは戦闘技術を何一つ身につけることができなかった。
攻撃魔法。 剣術。 暗殺術。 武術。 回復魔法。
誰もが自分だけの才能を見つけていく中、ノアはパーティーの足を引っ張り続ける。
だから彼は、自分だけ抜けると告げた。
――その瞬間。
『お前がリーダーになれ』
幼馴染たちはそう言った。
ノアには、自覚のない才能があったのだ。
人材育成。 情報収集。 危機察知。 行動予測。 適材適所。
本人は“なんとなく”で動いているだけなのに、なぜか全てが最善へ転がっていく。
やがてノアは、王国最強クラン《アストラ》のクランマスターとなる。
本人は迷宮にも潜らず、重要案件も適当に許可印を押すだけ。
そのくせ彼が選んだ探索者は必ず生還し、彼が振った依頼は例外なく成功し、彼が「嫌な感じがする」と呟けば本当に事件が起きる。
いつしか人々は彼をこう呼ぶようになった。
――“観測者”。
これは、本人だけが何も分かっていないまま、王国中から最強の謀略家として恐れられていく男の物語。