あらすじ
目を覚ました時、そこはダンジョンの中だった。
言葉も分からず、歩くこともできない赤子の状態で転生した“俺”は、魔物が跋扈する洞窟で死にかけていた。
そんな俺を拾ったのは、傷だらけの大男だった。
人間離れした戦闘能力を持ち、ダンジョンの中を当然のように生き抜くその男――ガーディは、なぜか俺を見捨てなかった。
それから十数年。
俺は彼に剣を教わり、魔物の倒し方を教わり、生きるための全てを叩き込まれて育つことになる。
この世界のダンジョンには、三つの絶対的なルールがある。
一つ、ダンジョンには代償を支払わなければ入ることすらできない。財貨や魔力だけでなく、寿命や肉体の一部を求められることもある。
一つ、攻略を果たした者には、難度に応じた報酬が与えられる。魔法、武器、魔獣の力、あるいは生存そのもの。
一つ、ダンジョンには意思が存在し、それは“クオリア”と呼ばれる。代償と報酬、そして攻略条件は、入場時にクオリアによって告げられる。
この世界で生きるということは、常に何かを差し出すことだった。
気づけば俺は、ただの赤子ではなく、一人の戦える人間になっていた。
だが同時に知る。
この世界はまだ、何も知らないことで満ちているということを。
そして俺は今日も、あの男の背中を追いながら剣を振る。
これは、ダンジョンの中で拾われた少年が、最強の男に育てられ、二度目の人生を歩き出す物語。