あらすじ

森の奥――。季節が混ざり合う場所に、“季節病棟”と呼ばれる古い洋館がある。 そこへ辿り着くのは、季節に取り残された者たちだけ。 冬に置いていくはずだった感情が、身体へ残り続ける「残雪症」。 存在が陽炎のように揺らぎ、他人の記憶から薄れていく「陽炎症」。 夜が訪れなくなり、眠ることすら出来なくなる「白夜症」。 二十四節気ごとに現れる、不思議な“季節病”。 病棟で患者たちを迎えるのは、標(しるべ)と名乗る一人の青年だった。 季節の色を宿す黒髪と深い翠の瞳を持つ彼は、静かに人々へ寄り添い、止まってしまった感情を少しずつ巡らせていく。 ――まるで彼自身もまた、季節の狭間へ取り残されているかのように。 これは、痛みを忘れて救われる物語ではない。 残り続ける雪も、止まない雨も、揺らぐ夏の熱も抱えながら、それでも人が次の季節へ進もうとする、二十四節気幻想譚。

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カクヨム
カクヨム2026/05/20
  • 現在の作品季節病棟