あらすじ
「君は優秀すぎる。隣にいると息が詰まる」
その一言でミレアナ・リステルの婚約は破棄された。
王都で完璧な令嬢として生きてきた彼女は、何も言い返さずただ静かにすべてを捨てた。
向かった先は誰にも縛られない辺境の地。
もう誰にも期待しない。
誰にも踏み込ませない。
ただ合理的に、生きていくだけでいいはずだった。
───だが。
そこで出会ったのは、軽薄で距離感の壊れた銀髪の冒険者だった。
「アンタ、面白いね」
それは評価でも同情でもない。
ただ“個人”として見られる、理解不能な視線。
さらに、王都から付き従ってきたリオネルが静かに告げる。
「お嬢様。ここでは今までのようにはいきません」
守ろうとする者と、踏み込んでくる者。
その狭間でミレアナは初めて“合理では測れない関係”に触れていく。
やがて彼女は気付き始める。
正しさだけでは人は生きられないということを。
だが同時に、捨てたはずの王都の過去は静かに彼女を追い始めていた。
これは、合理で生きてきた令嬢が辺境で“人としての生き方”を選び直す物語。