あらすじ
「球団を売ってこい。猶予は今年一杯だ」
NPBに誕生した初の「二軍専門球団」ミライ静岡BC。そこは、戦力外通告を受けた崖っぷちの男たちや、指名漏れに泣いた若者が、もう一度プロの光を掴むために泥をすする「最後の再生工場」だった。
元ドラ1監督・真鍋と、どん底から這い上がった臨時コーチ・片山のもと、一軍への切符をかけて150キロ台後半の銃声を響かせる豪腕・野々村。現場の熱気は間違いなく高まっていた。
しかし、経営の現実は冷酷だった。
累積赤字を前に、親会社は創設わずか1年で球団の身売りを決定。放映権料もなく、遠征費に圧迫される“お荷物二軍球団”を買い取る企業など、この国にあるはずがなかった。
見捨てられる原石たち。解散へのカウントダウン。
絶望的な状況の中、フロント統括課長・板垣が閃いたのは、球界の勢力図を根底からひっくり返す悪魔的な買収スキームだった。
ターゲットは、日本プロ野球選手会。
「現役選手の年俸1%を拠出させ、ファンドを作って球団を買い取る」
2004年の球界再編を戦ったレジェンドたちを巻き込み、選手自身がオーナーとなる前代未聞の聖戦が始まる。だが、彼らの行く手を阻むように、地元・静岡の政界を揺るがす「市長の学歴詐称疑惑」という不穏な風が吹き荒れ始め――。
15年後、少子化で消滅の危機に瀕するプロ野球の未来を救うのは、既得権益の大人たちか、それとも現場の狂気か。
魂を燃やす現場の野球劇と、緻密な財務ロジックが交錯する、リアル・スポーツビジネスサスペンス、開幕!