あらすじ
世界の理に触れるような、不思議な力を持つ少年アレン。だが本人にその自覚は薄く、父からは「人前で目立つな」と口酸っぱく言われながら、辺境の村で静かに暮らしていた。薪を割れば綺麗に揃いすぎ、石を投げれば妙な軌道で的に当たる。そんな“普通になりきれない日常”の中、アレンは幼馴染のミリアをはじめ、後に大きな運命を共にする少女たちと出会っていく。
成長したアレンは、自分の力を正しく認めてもらうため、世界屈指の王立学園へ向かう。しかし、そこで待っていたのは華々しい評価ではなく、まさかの落ちこぼれ扱いだった。通常の魔法や剣術の基準では測れない彼の力は、試験でも授業でも空回りし、周囲からは頼りない生徒として見られてしまう。
一方、かつてアレンが陰から助けた少女クレアは、努力と才能によって学園で頭角を現していく。誰かを守るために剣を取る彼女は、やがて王国からも注目され、“英雄”への道を歩み始める。アレンはその姿を誇らしく思いながらも、父が何度も口にしてきた「英雄になるな」という言葉に、言いようのない違和感を覚える。
落ちこぼれの少年、光の中へ進む少女、彼を隠そうとする幼馴染、そして彼の異常性を見抜く理論家。学園で交わるそれぞれの思惑は、やがて王国が掲げる“英雄”という名の栄光へと繋がっていく。
これは、世界最強の少年が英雄になる物語ではない。
英雄という名の鎖を断ち、自分自身として誰かを守る物語である。