あらすじ

婚約者に捨てられて三年。私は『Loss』——喪失という名のカフェを営みながら、あの日置いていかれた片方だけのマグカップを、棚の奥でずっと抱えていた。 捨てればいい。そんなことは分かってる。でも、これを手放したら本当に終わってしまう気がして——。 そんなある雨の夜、閉店後の店に変な男が現れた。 「それ、譲ってもらえませんか」 真壁蒼一。全国の喫茶店を巡り『対になるものを失った食器』を集めているという、傘も持たない不思議な蒐集家。 「片方だけになったものには、物語がある。だから価値があるんです」 売り物じゃないと断っても、彼は毎週通い詰めてきた。コーヒー一杯だけ頼んで、閉店後の店で静かに待っている。マグカップの『物語』を聞かせてほしいと——。 誰にも話せなかった三年分の想い。少しずつ語るうちに、私は気づいていく。傷ついた心を抱えているのは、私だけじゃないということに。 これは、欠けた二人が出会い、新しいペアのマグカップを買いに行くまでの物語。

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小説を読もう2026/05/20
  • 現在の作品婚約者に捨てられた私のカフェに「片方だけのマグカップを譲ってください」と変な男が通い詰めてくるので過去を語っていたら、いつの間にか新しいペアのマグカップを買う約束をしていた件