あらすじ

桐島修一、五十二歳。かつては売れっ子だったゲームデザイナー。 今の彼に残っているのは、世界を広げる力ではなく、通る形に畳む技術だけだった。 ある日、修一は二十年前に作りかけたまま放棄した未完のファンタジーRPGの世界で目を覚ます。空は二つに割れ、町の路地には古い開発者コメントが浮かび、人々は書かれなかった過去や、未実装のまま残された痛みを抱えて暮らしていた。 修一には、その痕跡が読める。 けれど、書き換える力はない。 記憶の途切れた少女リーネ。台詞の先を奪われた青年アレン。世界の完成と両立しないかもしれない少年コハク。魔王として置かれながら、物語を与えられなかったガルド。 彼らと歩くうちに、修一は知っていく。未完成はただの欠陥ではないこと。完成はただの救いではないこと。そして、かつて自分が「あとで」と置き去りにしたものにも、今日が続いていたこと。 これは、世界を直す力を持たない元ゲームデザイナーが、未完のまま生きている誰かと出会い、設計者の席を降りていく物語。

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カクヨム
カクヨム2026/05/20
  • 現在の作品売れっ子だったゲームデザイナーが、作りかけた未完の世界で君と出会う