あらすじ
「ははっ、いつでも過去へ行ってこい。俺はずっとお前を待っているからな」
時間旅行――。遥か遠い過去への干渉、ましてや自分自身の根幹に関わる歴史の改変など、本来は決して許されざる禁忌だ。
だが、俺に迷いはない。
過去へ戻り、あの忌まわしい後悔をすべて帳消しにする。それだけが、俺の望み。
人生で最後となる、時間旅行の幕が上がった。
目覚めと同時に込み上げる、理由のない悲哀。
――そして、ある残酷な事実を悟る。
何度繰り返そうとも、この世界には俺の名前など存在しないのだということに。
ならば、すべきことは一つ。
「自分の本当の名前を見つけ出し、この現実を冒険し尽くすこと」
あまりに単純で、あまりに途方もない旅。
これから先、待ち受ける過酷な運命を。
この時の俺はまだ、知る由もなかった。