あらすじ
世界中が、“島”を巡って争っていた。
超大型VR世界《Elysia Sphere》では、
プレイヤーはガチャによって島を獲得し、
国家級の勢力を築いている。
軍事。
資源。
研究。
金融。
誰もが、
自分の島を“最強の国家”にするために競い合っていた。
――そんな中。
中堅VR配信者・MIO-Logは、
新作ゲーム配信用に兄を呼び出す。
「お兄ちゃん暇でしょ?」
「このゲーム難しいから代わりにやって」
会社を辞め、
暇を持て余していた男――流崎 涼は、
興味なさそうにVRへログインした。
そして引き当てたのは。
【SSR:廃棄島】
高低差だらけ。
崩壊した旧道路。
維持費だけ高い、
完全ハズレ扱いの無人島。
視聴者たちは笑った。
『終わったw』
『戦争ゲーで廃棄島は草』
『軍拡できないじゃん』
だが。
島の地形を見た瞬間、
流崎涼だけが呟く。
「……これ、流れるな」
彼は知らなかった。
その島が、
後に世界最大の“公道都市”へ変わることを。
最速とは、最高速度ではない。
止まらず、
流れ続けることこそが最速。
――《公道最速流動理論》。
軍事国家が戦争を始める中、
ただ一人、
道路だけを作り続ける男。
しかしその異常な道路網は、
物流、観光、経済、そして戦争すら変えていく。
これは。
世界で一番、
気持ちよく流れる島を作ろうとした男の物語。