あらすじ

東京の大手広告代理店で、分刻みのスケジュールと「タイパ(タイムパフォーマンス)」に追われ、自分を見失いかけていたプランナーの穂乃花(ほのか)。ある朝、出張先の新大阪駅で衝動的に西へ向かう新幹線へと飛び乗ってしまう。 目的地のない旅の途中、JR西日本のローカル線「宇野線」の車内で、穂乃花は**「12枚目でロックがかかった持ち主不明の古いカメラ」**と、謎のメッセージが書かれた絵葉書を拾う。 『12番目の港で、時計の針が止まる。蒼の中に、本当の君を隠した』 時を同じくしてその列車に乗り合わせ、失踪した写真家の恩師を捜していた青年・蓮(れん)。ふたりはカメラに仕掛けられた精緻なギミックに導かれるように、瀬戸内の島々とローカル線を巡る謎解きの旅へ出ることに。 アートの島・直島、巨大な日時計が眠る夜の坂出、地図から消された歴史を持つ大久野島、そして江戸時代の面影を残す潮待ちの港・御手洗――。 JR西日本エリアが誇る美しい海と線路を渡り、互いの過去と傷を少しずつ共有していくふたり。結論を急ぐ都会のルールを離れ、波のようにゆっくりと、けれど確実にふたりの心の距離は縮まっていく。 ついに本州の果て・**下関(関門海峡)**へと辿り着いたとき、カメラの最後のシャッターが切られ、フィルムに隠された「美しい真実」と、ふたりの新たな未来が動き出す。

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小説を読もう2026/05/20
  • 現在の作品蒼(あお)の境界線を越えて――瀬戸内ローカル線、12の途中下車