あらすじ
斎原千尋は、昔から“知らない死”の夢を見る。
燃える家で息絶える夢。
海の底で沈む夢。
獣として逃げる夢。
そして――草として、ただ光を浴びていた夢。
ある日、帰り道の神社で“鬼”に襲われた千尋は、
草だった前世の記憶を思い出し、瀕死の身体を再生させる。
そこへ現れた白髪の少女・月白依織は告げた。
「あなたは、千回目の命を生きている」
この世界では、あらゆる命が輪廻転生を繰り返す。
人も、獣も、鳥も、虫も、草も。
そして千回目の転生を迎えた魂は“大悟”し、
過去すべての命の記憶を取り戻す。
その中で、最も強く魂に刻まれた記憶が“力”になる。
だが、魂の成長を拒絶し、本当の罪に堕ちた者は、
鬼・魔物・悪魔へと変わる。
彼らが狙うのは、一万回の大悟を経た神が姿を変えた樹――
大樹花《月樹》。
月樹を喰えば、
輪廻を壊せる。
神になれる。
過去さえ変えられる。
まだ何者でもない千尋は、
自分の中に眠る無数の命と向き合いながら、
神の樹を巡る戦いへ踏み出していく。
これは、
千の命を背負った少年が、
それでも“生きる”ことを選び直す物語。