あらすじ
中村亮は、前世で何者にもなれないまま死んだ。
目を覚ました先は、剣と魔法の異世界。
だが、そこに女神はいなかった。祝福もなかった。勇者として迎えられることもなかった。
あったのは、拘束具と、書類と、前世問診だった。
この世界にとって、転生者は未知の奇跡ではない。
発見され、保護され、問診され、前世の知識や経験、そして発現した能力によって等級を与えられる。
医師は医療知識で重宝される。
軍人は戦場経験で迎えられる。
技術者は技術で価値を示す。
前世で何者でもなかった者でさえ、強い能力を引けば勇者や聖女として扱われる。
亮に下された判定は、C級。
能力は、魔法効果の無効化。
一見すれば強力なその力は、制御が粗く、味方の魔法すら巻き込む扱いづらいものだった。
無能ではない。
だが、英雄でもない。
それでも亮は、自分にはまだ意味があるはずだと考える。
自分をC級と呼んだ世界に、この能力の価値を認めさせようとする。
だが、世界が彼を正しく見たのは、英雄としてではなかった。
高位神託者への敵意。
魔法契約、加護、封印、神託兵器への干渉能力。
そして、本人がその価値を理解し始めているという危険性。
やがて世界は、C級転生者・中村亮をこう記録する。
第二の魔王候補、と。