あらすじ
『さあ、いよいよラプ星人と総理の会談が始まろうとしています。アメリカ、中国、イギリス、ドイツに続き、ついに私たちの番です! 総理は紺色のジャケットに白のインナー、すっきりとしたパンツスタイルで登場。今、ラプ星人の代表の隣へ並びました! 総理は満面の笑みで握手を交わし――あっ、拳を高く掲げて、ぴょんぴょん飛び跳ねています!』
……大丈夫なのか?
おれはソファに腰を沈め、テレビ中継を見つめながら眉をひそめた。
ある日、ついに宇宙人が地球へやってきた。ラプ星人と名乗るその種族は、まずアメリカを皮切りに各国の首脳と順番に会談を行い、どの国と正式に友好関係を結ぶか見極めるという。
人類史上、前例のない大転換点だ。人類が宇宙へ扉を開いた――いや、手を差し伸べられた瞬間と言えよう。当然、世界中が大熱狂した。この国でも今日に至るまで連日、特集が組まれていた。だが、期待が膨らむ一方で不安の声も少なくはなかった。
というのも、総理はこの国初の女性総理大臣ということで話題性こそ抜群だったが、就任してまだ日が浅く、その手腕については国民の多くがいまだに測りかねている状態なのだ。
そもそも、おれは議員投票で国のトップを決めるという制度そのものに、どこか釈然としないものを感じていた。それでも、選ばれた以上は相応の能力があるはずだが……。
まあ、いずれにせよ、こうした場では官僚が用意した原稿をもとに無難な受け答えをするだけだろう。余計なことさえ言わなければ問題ない――ん?