あらすじ
帝国には、“植物人間”と呼ばれる生体奴隷が存在する。
胸に花を咲かせ、感情によって香気を変える彼らは、戦闘兵器・愛玩具・実験素材として消費され、壊れれば廃棄されるだけの存在だった。
そんな壊れた植物人間ばかりを、闇商人から高値で買い集める奇妙な貴族がいる。
彼は彼らを戦わせない。働かせない。
怯えさせることも、従わせるために鞭を振るうこともない。
ただ傷ついた身体を修復し、砕かれた心を調律し、最も美しい姿へと仕立て直して、陽だまりの中で“愛でる”。
「君たちは、ただ綺麗でいればいい」
そう告げられた奴隷たちは戸惑う。
戦うことでしか価値を与えられなかった者。
痛みの中でしか生きられなくなった者。
主人を恐れることしか知らない者。
これは、壊れた花たちが、歪んだ主人の執着と偏愛によって少しずつ“安らぎ”を覚えていく物語。
そして同時に――
美しいものを蒐集し、救済し、所有することに異常な愉悦を見出す、ある狂った調律師の記録である。
『花奴隷調律録』
――ようこそ、傷ついた花々のための温室へ。