あらすじ
「聖女エルネスティア・ヴァイスローゼ」——その名は、神に選ばれし癒し手として、王国中に讃えられていた。
戦場で兵を癒し、孤児に微笑みかけ、王太子の婚約者として人々の希望となった少女。けれど彼女は知らなかった。自分の祈りが、誰の血で購われたものだったのかを。
二十歳の春。エルネスティアは王太子その人の手によって、「魔女」として火刑台に送られる。寄り添ったはずの侍女に裏切られ、救ったはずの民に石を投げられ、灰となって消えるその瞬間——彼女は、すべてを思い出した。
これは二度目の人生。最初の生涯で、自分を殺した者たちの顔を、声を、嘲笑を。
目を覚ましたのは、十二歳の朝。聖女として神殿に召し上げられる、その前夜だった。
「——もう、祈らない」
灰の記憶を胸に、少女は聖典ではなく剣を握る。癒しの手で、今度は喉笛を裂くために。神に愛された娘は、神を捨てた。これは、聖女であることをやめた少女が、自らの手で運命を斬り拓く物語。
復讐の刃の果てに、彼女が見るものは——救いか、それとも。