あらすじ
聖都アステルの聖教会総本部で暮らす修道女見習い、ユナ・リベル。
ユナは幼い頃から、自分の名にどこか実感を持てずにいた。
夜ごと夢に見るのは、遠ざかっていく誰かの泣き声。
目覚めても、その声だけが胸の奥に残り続けていた。
そんなある日、聖都を守る結界に、水面のような波紋が現れる。
そこに立っていたのは、顔のない少女だった。
「どうして、あなたには名があるの」
境界の異変をきっかけに、ユナは聖女シャルロッテと出会う。
シャルロッテはユナの名を呼び、揺らぐ彼女をこちら側へ引き戻す。
けれど、顔のない少女の出現は、聖教会が長く隠してきた古い儀式と、ユナ自身の出生へ繋がっていた。
悪魔と記録されたものは、本当に悪魔なのか。
名を持たなかった者は、何者として扱われるべきなのか。
名を持つ者と、名を持たなかった者。
神と呼ばれたものと、悪魔と記録されたもの。
その境界で、ユナは初めて、呼ばれなかった誰かの名を探し始める。
聖女は私の名を呼ぶ。
ならば私は、誰の名を呼ぶのだろう。