あらすじ

二十一世紀の終わり、日本に『穢れ』と呼ばれる怪異が現れるようになって、もう三十年。 それを祓えるのは『聖女』と呼ばれる、ごく一部の血筋の少女たちだけ。 私──白瀬 朔耶(しらせ さくや) は、聖女を輩出する五大家のひとつ・白瀬家の長女。けれど、家ではずっと「無能」と呼ばれてきた。歳の離れた妹・宵子(よいこ) こそが「天才聖女」と讃えられ、私はその影で雑用と恥さらしの役を引き受けて生きてきた。 それで、よかった。お母さんの遺言は、たったひとつだったから。 ──「朔耶、絶対に、力を見せちゃダメよ」。 なのに。 高校二年の春、全校集会のあと。 私の婚約者で、五大家筆頭・九条 透真(くじょう とうま) が、体育館のステージから私を指差して言ったのだ。 「白瀬朔耶。無能なお前との婚約は破棄する。──妹の宵子と結婚する」 ざわめく生徒たち。勝ち誇る妹。憐れみの目を向ける担任。 私は俯いて、ゆっくりと顔を上げて、にっこりと笑った。 「はい。ありがとうございます」 だって、これでようやく、私はこの家を出ていける。 お母さんの「ごめんね」の意味を、私はもうすぐ知ることになる。 これは、ずっと『無能のフリ』をしてきた本物の聖女が、捨てられた瞬間にすべてを取り戻していく──そんな、ささやかで爽快なお話。

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小説を読もう2026/05/19
  • 現在の作品体育館で公開処刑された地味系JKの私、本当は本物の聖女だったので、これ幸いと家を出ます。今までお世話になりました、もう二度と帰りません。