あらすじ
「仕事というのは、便利屋のことではない。国の仕事のことだ。表に出ない部隊だった――」
福岡県田川郡香春町。
窓を開ければ香春岳が正面に見える古い平屋で、榊修一(42)は一人、「便利屋」として静かに暮らしていた。
九年前に最愛の妻を事故で亡くし、かつて十五年間従事した、国家のどこにも記録のない「表に出ない部隊」での過去を捨てて流れ着いた街。遠く離れた息子を近くで見守ることだけが、彼がここにいる理由だった。
ある日、ふらりと立ち寄った国道沿いの寂れた定食屋。
そこで店主の善意につけ込み、理不尽な因縁をつけて金を脅し取ろうとする小悪党の二人組に遭遇する。
「関係あります」
箸を置き、静かに立ち上がった修一。
鍛え抜かれた体とプロの技術は、一瞬の無駄もなく、大振りな暴力を無力化していく――。
田川の街で出会った無口な店主・福田。
そして修一の道具部屋の奥に眠る「鍵のかかった木箱」。
筑豊の渇いた空気の中、ただの便利屋として生きようとする男の周囲で、静かに運命の歯車が回り出す。
圧倒的なリアリティと緊迫感で描かれる、傑作ハードボイルド・アクション!