あらすじ

かつて神童と呼ばれた碧玄は、自分の今後に行き詰っていた。 周りは勝手に期待して持ち上げ、勝手に期待を裏切られたと離れていく。そんな奴ばっかだった。 それの繰り返しに疲れた碧玄は、次第に学校に行かなくなっていった。親には何も言わず。きっと学校から連絡が入っているのだろうが、気づかないふりをしているのだ。 それだけが、唯一の救いだった。それがなければとっくに心折れて、ここまで生きながらえることはなかっただろう。 休日の昼ふと、いつも家を出て歩く道とは逆に歩いてみようと思い立った。何も考えずに、ひたすらと。 やがて、少し前のコンクリを眺めていた視線は一つの看板に向けられる。 「喫茶 淹鯨」 読み方がわからない。最初に抱いた感想はそれだった。淹れるにクジラ。よくわからないくみあわせだが、それが逆に興味をそそる。 喫茶だから、マスターはどんな人だろう。ブレンドの豆の種類は?店の名前の由来は? そんなことを考えながら、扉の向こうへ、期待を胸に足を踏み入れる。

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小説を読もう2026/05/19
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