あらすじ
王都魔法ギルドの書記官・アルノ・ベルツは、受付嬢のセレナ・アルバに恋をして三ヶ月が経った。
彼が取り組んでいるのは「いつ告白するか」ではなく、「どの条件が揃えば告白できるか」の計算だった。夜番の組み合わせ、受付の混雑度、彼女がハーブティーを淹れる頻度。すべてを数値化した結果、最適な条件が揃う確率はおよそ六十二パーセント。計算に入れ忘れたのは、彼自身の勇気だけのはずだった。
十一月の夜番。二人きりのギルドで、条件は揃った。残る問題は、彼の口が動くかどうかだけ。
だがセレナは、手元のノートから目も上げずに言う。
「今日って、六十二パーセントの日ですよね」
三ヶ月分の統計と、書記官としての威厳が、同時に崩れ落ちた。
——とっくに、全部バレていた。
すれ違わない、計算ちがいのラブコメ。