あらすじ
あらすじ
町の音楽フェスで再びステージに立ったバンド「ホットハンズ」あれから20年。
かつて“続けられる形”を選んだ4人は、 仕事、家庭、介護、病気、子どもの独立―― 人生の大きな波をいくつも越えながら、 細く長く音楽を続けてきた。
50歳になった今、 彼らはもはや夢を追う若者ではない。
麻耶は子育てを終え、少しずつ「自分の時間」を取り戻し始めていた。
響は会社売却後、成功と引き換えに空白の時間を抱える。
慎司は大学を退職間近に控え、自分の研究人生を振り返っている。
大地の喫茶店「Tone」は地域に愛される店となったが、 ある事情から店の存続危機に直面していた。
そんな中、 閉店の危機にある「Tone」を守るため、 4人は一度きりのチャリティーライブを企画する。
ただし今回は、 昔を懐かしむためではない。
人生の折り返しを過ぎた自分たちが、 次の20年をどう生きるか―― その答えを探すためのライブだった。
派手じゃない。 でも確かにそこにある、 大人になった彼らの音を描く物語。
登場人物リスト
麻耶(50)/Vo
元専業主婦。現在は地域の合唱サークル講師。
子どもたちは独立し、 久しぶりに「母」や「妻」ではない自分と向き合っている。
若い頃のような高音は出なくなったが、 代わりに“人生を通った声”を手に入れた。
「歌が上手い」ではなく、 「この人が歌うと聴いてしまう」と言われる存在になっている。
響(50)/Gt
元IT企業社長。会社売却後、現在は半リタイア状態。
経済的自由は手に入れたが、 目標を失ったことで空白感に苦しんでいる。
ギターだけは20年間手放さなかった。
若い頃は技巧に執着していたが、 今は「1音で何を伝えられるか」を考えるようになった。
離婚歴あり。
慎司(50)/Ba
大学教授(音響工学)、学部長候補。
理論と実績を積み上げてきた人生。
外から見れば順風満帆だが、 「正しい選択ばかりしてきた人生だった」と感じている。
ベースは相変わらず正確無比。 しかし最近、 “少しだけ崩す音”に興味を持ち始める。
健康診断で軽い異常が見つかり、 年齢を意識し始めている。
大地(50)/Dr
喫茶店「Tone」店主。
店は20年続き、 町の文化拠点のような存在になっている。
穏やかで飄々としているが、 建物老朽化と家主都合により立ち退き問題を抱える。
「Tone」を失うことは、 自分の人生の一部を失うことだと分かっている。
昔より少し無口になった。
でもドラムは相変わらず一番熱い。
朝陽(あさひ・22)
大学生。音楽配信クリエイター。
偶然「ホットハンズ」の古いライブ映像を見つけ、 SNSで拡散したことで再注目のきっかけを作る。
音楽はデータとアルゴリズムで広がる時代に育った世代。
4人にとっては“次の世代”との接点になる。
真琴(まこと・48)
ライブイベント会社勤務。
かつてホットハンズの高校時代の同級生。 チャリティーライブ企画の実務を支える。
現実的で有能。 大人になった4人の暴走を止める役。