あらすじ
かつての大戦で、すべてを切り裂く兵器として造られた自動人形(オートマタ)の少女、ノエル。
終戦と共に「不要な鉄屑」として廃棄された彼女を拾ったのは、辺境で小さな修復屋を営む老技術者だった。
「物はね、直されるたびに持ち主との記憶を深めていくんだよ」
心を持たないはずだったノエルは、おじいさんの傍らで壊れた物を直す手伝いをするうちに、殺戮のための『魔力糸』を、大切な思い出を繋ぎ合わせる『修復の糸』へと変えていく。
やがて、おじいさんが寿命でこの世を去った後。
ノエルは彼が遺した一冊のスケッチブックと形見を鞄に詰め、宛てのない旅に出た。
行く先々で「銀髪の悪魔」と人々に恐れられ、石を投げられても。
彼女は決して誰も傷つけることなく、その魔法の糸で、人々の壊れた時計を、街を、そして凍りついた心を、不器用に直していく。
これは、心を持たなかった兵器の少女が、遺された景色を巡りながら、誰かの明日を繕い続ける、少し切なくて優しい後日譚。