あらすじ
神様だって、書き換えられる。
神に閉じられた世界「シコク」で、臨時職員として封鎖区域の記録整理をしていたトオルは、ある日、読んではいけない地下施設のメモを読んでしまう。
その結果、彼は暗闇の奥にいる何かに見つかり、右手に黒いペンを与えられる。
黒栞《コクカン》。
それは、ゾンビを一言で爆ぜさせ、神話ごと神を殺せる異常な万年筆だった。
しかし、その力は祝福ではない。
黒栞を使うたび、トオルの名前は自分のものではなくなり、世界から色が抜け、白黒の少女が彼の背後で囁き続ける。
もっと書いて。
もっと殺して。
そうすれば、私はそちらへ行ける。
荒ぶる神々に人間を奉納する社会。
奉納され損ねた者がゾンビとなる街。
神の使徒として人を“客”として連れ去る番頭。
そして、神を殺した跡に開く、暗闇の穴。
これは神殺しの英雄譚ではない。
救えなかった死者を、美談にしないための記録である。