あらすじ

席次表の自分の名は、婚約者から三人ぶん離された場所にあった。 シルヴィアは伯爵令嬢である。 五年前、侯爵嫡子と婚約を交わした。 以来、彼女は家政を回し、贈答記録を整え、外交書簡を書き続けてきた。 それを、当然のこととして、誰もが受け取った。 本人すらも、そう思っていた。 春の慈善茶会。 婚約者の隣には、乳姉妹の男爵令嬢が座っていた。 シルヴィアの席は、卓の四人目だった。 譲ってください、とは言われなかった。 お願いの形で、決定はもう下されていた。 冷めた茶。 柱の影に立つ、見知らぬ若い文官の視線。 扇の影で、何かを数える貴婦人の声。 「あなたが下に通されるのは、これで何度目になりますの」数えていた人がいた。 社交界の誰かが、彼女のために、ずっと数えていたのだ。 五年間、シルヴィアが黙って積み上げてきたものを、誰が、どこで、見ていたのか。 そして、見ていた人たちは、何を知っていたのか。

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小説を読もう2026/05/19
  • 現在の作品侯爵家を支えていたのは誰か、社交界はとうに気づいていた