あらすじ

蜂谷蓮(はちたに れん)には硬式テニスしかなかった。小学三年生からラケットを握り続け、それだけが自分の全てだと思っていた。なのに入学した中高一貫校には、硬式テニス部が存在しない。あるのはソフトテニスだけ。ポンポンするだけの、柔らかいテニス。俺には関係ない。そう思っていた。 だが——気づいたら、フェンスの前に立っていた。白球がとてつもない速さで飛び交う三面のコート。乾いた打球音が鳴るたびに、ボールがコートの端へ叩き込まれる。先輩たちの動きは、俺の知っているテニスとは何かが違った。速くて、鋭くて、美しかった。 俺はソフトテニスを舐めていた。 コートには入れない。ラリーもできない。毎日フェンスの外で、小さなネットを挟んでボレーボレーを繰り返すだけ。 そんな場所で出会ったのが、ひょろっとしたアホ面の左利きの少年だった。 コートを奪われる理不尽。クラスの一軍と、ダル絡みしてくる男。そして——小学校の頃に置いてきた、あの傷。 蜂谷蓮は笑わない。感情を出さないと決めている。クールに生きると誓っている。 なのに、ラケットを握るたびに、何かが溢れそうになる。 夏が来る前に、顧問が告げた。 「君たちは、先輩方と一緒に練習してもらいます」 これは、蜂谷蓮がテニスの魔王と呼ばれるようになるまでの私小説だ。

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小説を読もう2026/05/19
  • 現在の作品BEE Stings ~二人の最強テニス~