あらすじ
色彩を失い、味覚を失った青年・倉田隆俊。
彼を「有用な部品」として証明し続けなければ、陸自と鷹宮の研究所によって彼は生きたまま解剖台に送られてしまう。
だからこそ南里百合は、血の涙を流しながら「冷酷なマッドサイエンティスト」を演じ、愛する彼を過酷な装置へ繋ぎ続ける。
一方の倉田もまた、彼女が自分を庇うために悪役を演じて泥を被っていることに気づいていた。彼は彼女の罪悪感を少しでも軽くするため、痛覚や聴覚がパージされていく恐怖を隠し、すべてを分かった上で「何も考えていない馬鹿な部品」のふりをして微笑む。
互いが互いを守るために、互いの心を殺し合う、息が詰まるほど優しくて残酷な共犯関係。
逃げ場のない三度目の禁忌の狙撃。
「感情」すらも演算燃料として燃やし尽くし、絶対零度の『神(観測者)』へと羽化していく彼を前に、ついに南里の精神は限界を迎える。
「誰にも、誰も入れないわ。貴方を壊すのも、貴方を愛するのも、私一人だけでいい――」
壊れゆく仲間たちと、すべてを失った彼を前に、天才科学者が至ったのは、狂気的な独占欲で外界を遮断する『絶対不可侵の檻』の完成だった。
シリーズ最高潮の絶望と、狂おしいほどの純愛が交錯する第二話。