あらすじ
それは太平洋戦争のとき、虹島志郎は池下光雄と名古屋市のある場所で、B29目掛けて高射砲を撃っていた。かつて二人は同じ中等学校野球部に所属し、光雄はピッチャー、志郎はキャッチャーだった。甲子園を目指していたが、叶わぬ夢となった。戦争のため大会が中止になったからだ。卒業後偶然同じ部隊に所属することとなり再会を果たした。
池下には佳代子という妹がいた。佳代子には矢倉芳子という親友がいて、芳子は親友の兄である光雄に恋をし、佳代子が仲を取り持ち、許嫁(いいなずけ)にまでなった。
物語は、虹島志郎と矢倉芳子の2人の視点で展開していく。
昭和二十年五月十四日、名古屋大空襲の日、高射砲部隊も壊滅した。志郎は奇跡的にかろうじて助かったが、光雄は戦士した。その後終戦を迎えたが、志郎は戦争による心の病のため、長野県の精神病院に入院することとなるがしばらくして退院、長野に母と住むことになった。
一方矢倉芳子は和久井純一郎という男性と見合い結婚し、浜松市に移住した。そして姑によるいじめを受けながらも秋絵という娘をさずかった。
戦後の長い年月を経て、平成二年、志郎は六十三歳になっていたが、家が雪崩で潰されたこともあり、八月十五日、終戦記念日の日に、生まれ故郷である名古屋に戻った。
池下光雄の亡くなった場所は今は公園になっていて、そこにゴミが落ちていることが気になりゴミ拾いを始めた。何かに駆り立てられるかのように長い時間拾い続けた。そこである拾い物をする。
矢倉芳子はというと、夫の不倫が原因で離婚し、娘とともに名古屋の実家に戻っていた。そして不思議な縁で志郎と再会を果たす。
平成五年十月十二日、志郎は掃除当番としてその公園を掃除していた。公園には野球場があり、そこで同じ年代の男性と出会い、キャッチボールすることになるのだが。