あらすじ
「私一人の力ではありません。家族の力添えがあったからこそ、今日があるんです」
名門・帝都フィルハーモニー管弦楽団。
史上初の女性、そして最年少でコンサートマスターに就任した中川咲良は、羨望と嫉妬の眼差しを浴びながら、記念すべき演奏会〈チャイコフスキーの夕べ〉の舞台に立とうとしていた。
大企業を実家に持つ夫・駿の献身的なサポート。
才能を認め、支えてくれる義実家。
そして、かつて切磋琢磨した先輩・浅井との再会。
すべては完璧で、夢は、叶えられたはずだった。
しかし、開演を告げるブザーと共に、咲良の周囲で不穏な「不協和音」が鳴り始める。
楽屋で見つけた不可解なメモ。
本番中に引き裂かれるドレス。
そして、アンコールの名曲『1812年』。
祝砲のバスドラムが響き渡るその瞬間、最悪の悲劇が幕を開ける──。
チャイコフスキーの情熱的な旋律に乗せて描かれる、愛と憎悪、そして復讐の物語。
最後に喝采を浴びるのは、誰か。