あらすじ
東京での過酷な会社勤めに心をすり減らし、自分の居場所を見失った三十二歳の景司。逃げるように辿り着いたのは、西日本の過疎の村・白瀬村だった。地域おこし協力隊として着任した彼を待っていたのは、高齢化、空き家、閉ざされる山道、消えかけた祭り、静かに衰退していく現実だった。
最初は「三年だけ」と割り切っていた景司だったが、土に生きる老人たちや、不器用ながら温かな村人たちと出会う中で、少しずつ心を取り戻していく。やがて彼は、古びた空き店舗を改装し『山里食堂 灯り屋』を開店。そこは村人たちが笑い合い、帰って来られる“灯り”となっていった。
冬の豪雪、老人の倒壊、経営不安、数々の苦難を越えながら、景司は次第に「逃げて来た男」から、「村の未来を守る男」へ変わっていく。人が減り、火が消えかけた山村で、一人の青年が見つけた本当の志とは。再生と希望を描く、山里の群像物語。