あらすじ
東京のブラック企業で働き、心をすり減らした三十二歳の会社員・景司。自虐的に始めたSNSアカウント「うつの帝王」が思わぬ共感を呼び、彼は半ば社会現象となる。しかし本人は限界を迎え、都会から逃げ出すように瀬戸内の小さな島へ辿り着いた。
そこは、高齢化で消えかけた静かな離島だった。だが島民たちの雑で温かな優しさ、海辺の静かな時間、美味い魚と「頑張らなくていい空気」が、少しずつ景司を回復させていく。
やがて彼は、同じように壊れかけた若者たちの“逃げ場所”として空き家を開放。「うつの島」と呼ばれながらも、その場所は全国から疲れた人々が集まる再生の共同体へ変わっていく。
炎上、社会現象、海外取材、そして恋。
逃げることは敗北ではなく、“生き延びるための選択”だった。
これは、人生に疲れた人々が、もう一度笑えるようになるまでの、少しおかしくて優しい再生の物語。