あらすじ
魔王討伐後の戦場跡で、死体回収の手伝いをしていた回復術師リナは、瓦礫の下から瀕死の青年を見つける。
黒髪、灰色の肌、人間離れした脈。
どう見ても普通の怪我人ではないその青年は、自分を「昨日討伐された魔王」だと言い出す。
本来なら見捨てるべき相手。
けれどリナは、目の前に治せそうな患者がいる以上、放っておけなかった。
青年ヴァルを治療し、森の廃小屋へ運び込んだリナは、やがて魔王討伐の裏に隠された真実を知る。
魔王とは世界を滅ぼす存在ではなく、魔境を押し留めるための楔だった。
その魔王が討伐されたことで、北の村や王都に黒い霧と魔獣が迫り始める。
リナは、討伐済みの魔王を荷車に乗せ、魔境を止める鍵である聖剣を取り戻すため王都へ向かう。
「魔王を拾った回復術師」と「討伐されたはずの魔王」が、世界の勘違いと教会の嘘に巻き込まれていく異世界冒険短編。