あらすじ
南極の氷が解けつつある現代。地質研究者の「私」は、観測中の裂溝に落下し、氷の下に眠る古代魔法文明の遺構と、千年の眠りから覚めた氷結の魔女に出会う。彼女が語り始めたのは、人類の真の起源――かつて南極を支配し滅びた魔法族の歴史、互いを愛しながら思想を違えて凍り付いた三兄妹の悲劇、そして気候変動の正体だった。喪った弟へ届かなかった最後の一言を、私はまだ手の中に抱えていた。届かなかった言葉を、今度こそ世界全体へ届かせる――その代償に己の命を懸け、手記だけを遺し、最後の魔法へ踏み出す。兄を救えなかった魔女と、弟を救えなかった私が紡ぐ、神話のような物語。