あらすじ

明治の終わり。 帝国大学を出た学士でありながら、職にも家庭にも落ち着けず、本郷坂下の姉夫婦の家へ出たり戻ったりを繰り返す男がいた。 久世省吾。足に古い傷を抱え、杖をつきながら、いつも不機嫌な高等遊民である。 頭は切れる。 人の嘘も、虚栄も、善意の顔をした支配も、ひと目で見抜く。 だが、その鋭さは他人を救うより先に傷つける。 とりわけ、自分へ差し出されたいたわりや同情には、耐えられない。 だから彼は、誰かと近づきかけるたび、自らその距離を壊してしまう。 場の建前を剥ぎ、誰も口にしなかった本音を暴き、何かを少しだけ動かす。 けれど彼自身は、どこにも留まれない。 帰るべき家があるからこそ、そこへ収まりきれぬ自分が、いっそうあからさまになるからだ。 この物語は、帰る場所を持ちながら、なお落ち着けなかった一人の学士の物語。 ※本作は過去に別名義で他サイトへ掲載していた作品を、改稿して再投稿しています。

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小説を読もう2026/05/18
  • 現在の作品明治不機嫌亭目録~帝大出なのに働かない足の悪い高等遊民は、今日も行く先々で人の本音を暴いてしまう