あらすじ

==ネタバレ注意!==  吉田和真(よしだかずま)は、春から京都で一人暮らしをする大学生だ。彼は部屋を探すため、大学近くの不動産会社『ファントム☆エステート』を訪れた。その会社を営む中年の男性、古家(ふるや)が和真の希望の物件を紹介していると、突然一ノ瀬(いちのせ)という若い男性が店に飛び込んできた。彼は以前ここで部屋を借りた客だったが、その部屋は年上女性の幽霊千鶴子(ちづこ)さんが先住する、幽霊付き物件だった。千鶴子さんは忙しい一ノ瀬の代わりに家事全般を完璧にこなしてくれているだけでなく、彼女と同居を始めてから一ノ瀬の運気は上向きになったという。しかも家賃は相場の半額。家賃の安い物件を探していた和真はここで斡旋している幽霊付きの部屋を紹介してもらうことにする。 古家(ふるや)の知人藪本(やぶもと)が大家を務める『casa compagno』(カーサ コンパーニョ)の二〇五号室、そこにはイケメン幽霊の白川裕介(しらかわゆうすけ)が住んでいた。気さくで明るい白川とはすぐに打ち解け、白川との同居が始まる。新生活は順調にスタートし、白川の紹介で和真は『ファントム☆エステート』でのアルバイトも始めることになった。  バイト先には以前出会った一ノ瀬や、白川の元ストーカーという女子大生、小山日菜子(こやまひなこ)もやってきた。日菜子は以前メンタルを病んでいた時期もあったが、今は渚(なぎさ)という幽霊と同棲し、上手くやっているらしい。  和真は、アパートの近くに住む小学生のたけるとも仲良くなる。たけるは白川の生前からの知り合いだと言うが、何故か白川には当りが強く、反抗的な態度を取る姿に和真は違和感を覚えていた。後にそれは、たけるが小学二年生の時のピアノの発表会当日、白川が帰らぬ人となってしまったことが原因だったが、秋にたけるの通う小学校で行われた学習発表会を見に行ったことを切っ掛けに、たけると白川の一度険悪になった関係は修復されていく。  ある日の食事会の帰り道、和真は将来のことを考えていた。社会人になったら今度は自分が、みんなと両親を食事に招待したい。それを聞いた白川がふと零した一言が和真の忘れていた記憶を呼び起こしてしまう。合格発表の数日後、両親が交通事故で亡くなっていたということ、両親に代わって大学の手続きやアパートの契約をしてくれていたのは叔母夫婦だったことを。混乱する頭で和真はこれまでのことを振り返る。両親の死のショックから時折記憶を混同するようになった和真は、大学入学後古家が医院長を務めるメンタルクリニックに通院し、カウンセリングを受けていた。白川もそんな和真の心に寄り添い、一番近くで支えてきたのだった。周囲の人たちとの暖かい交流を通して、和真の症状は徐々に改善されていく。  和真は改めて両親の死と向き合い、新しい出会いと自分を大切に思ってくれる人達の存在に目を向け、一歩踏み出すのだった。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/05/18
  • 現在の作品『ファントム☆エステート』へようこそ! ~心理的瑕疵あり「イケメン幽霊が先住しています」~