あらすじ
「婚約破棄だ」——その言葉と共に、私が十年間愛し続けた大聖堂が崩れ落ちた。
没落貴族の末裔で修道院育ちの孤児。石を磨き、廃墟を修復することしか能のない地味な女。それが私、リーシャ。三年間夢見た婚約者エドガーには「大聖堂と一緒に朽ちてしまえ」と吐き捨てられ、全てを失った。
けれど私は、瓦礫と化した大聖堂を見捨てられなかった。
「この子」と呼んで石壁に語りかける私を、人々は気味悪がり嗤う。それでも構わない。たとえ一人きりでも、この子を直すと決めたから。
——だが、廃墟の中で出会ったのは「冷徹公爵」と恐れられる銀髪の男だった。
「君だけが必要だ」
氷のような瞳で告げられた言葉の真意とは? 不自然な大聖堂崩落に隠された陰謀とは? そして、石に心を寄せる孤独な修復師が手にする「本当の居場所」とは——。
壊れたものを直し続ける少女と、心を閉ざした公爵が紡ぐ、廃墟から始まる溺愛ラブストーリー。