あらすじ
午後三時。
校舎の屋上で飲んだファンタグレープの味を、今でもときどき思い出す。
誰が先にそこにいたのか、何を話したのか、はっきりとは覚えていないのに。
この学校では、ときどき誰かがいなくなる。
理由もなく、行き先もなく、ふと姿を消す。
でも、それはいつも午後三時の出来事だった。
陽太は、月見すずと出会ったあの日から、
他愛のない会話を重ねるようになった。
彼女のことかもしれないし、あの時間のことかもしれない。
あるいは、自分自身のことだったのかもしれない。
午後三時にしか話せないことがある。
誰かと話したかったのか、それともただ、聞いてほしかったのか。
何者にもなれず、どこにも行かず、すべての理不尽はまったく解決なんてしないけれど、
それでも小さな会話の断片は、永遠のように残る。
これは、
午後三時という名の「どこにも行かない会話」の記録。
あの時間に、君と話したことの——