あらすじ
【1行でわかるあらすじ】
これは、"大切なものを失った少女"が、それでも誰かを守ろうとした、光と出会う前夜の物語。
【まじめなあらすじ】
障子の向こうで風が鳴り、畳に落ちる月光が静かに揺れる。
迷いの森の奥に息づく、和風の装いをしたけもみみ族の里。そこで育ったフィオナは、外の世界への渇望を胸に抱えながら、穏やかな日常を送っていた。
ある夜、好奇心がひとつの歯車を動かす。
幼馴染を失った。世界は何事もなかったかのように回り続ける。けれど、フィオナのすべてだった日常を壊すには、その一つの出来事で十分すぎた。
悲しみが憎しみになるまで、そう時間はかからなかった。
大人たちへの不信、人間への怒り、自分を責め続ける夜。笑えなくなり、誰も寄せつけなくなり、感情を奥深くへ押し込めながら、それでも彼女は生きることをやめなかった。
捨てようとしても、捨てきれないものがあった。
誰かが傷つく瞬間に、身体が動いてしまう。そういう自分を持て余したまま、フィオナは外の世界へと踏み出していく。
これは、光の少女・ティアナと出会うよりも前の物語。
本編とは対照的な、残酷で孤独な日々。それでも歩き続けたもうひとりの少女の、静かな記録。