あらすじ
食品工場で品質管理を務める須藤護(すどう まもる)、三十歳。出荷保留(ホールド)を出すたびに上司の赤池に睨まれ、誰にも感謝されない地味な毎日。ある日、彼は突然「勇者召喚」に巻き込まれる。だが王の鑑定では「勇者の資質ゼロ」。無能と嘲笑され、辺境へ放り出された彼が見たのは、原因不明の食中毒で死にゆく村人たちだった。手洗い、煮沸、温度管理、先入れ先出し――彼にとっては当たり前の知識が、この世界では奇跡となる。立ち止まり、確認し、保留する。地味な工程の積み重ねが、やがて腐敗しきった王国の「重要管理点」を貫く一本の刃となる。